アメリカは個人投資や金融商品の豊富さにおいては、日本より進んでいるといえます。日本にお住まいのかたが、アメリカの制度を利用して節税することが可能なのであれば、これを利用しない手はないのではないでしょうか?
日本に住んでいる日本人が、アメリカの税法を利用して節税をすることは可能ですか? 年に何回かこのようなご質問を受けます。そこで、このご質問へのお答えとして、いくつかある節税方法のなかから、ここで2つをご紹介します。ただし、日本でもアメリカでも、税法はかなり頻繁に変更されますので、ここでご紹介する方法はあくまでも、2006年4月現在有効な方法であり、これがいつ変更になるかはわかりません。
まず最初にご紹介するのは、アメリカの個人年金商品を利用する方法です。
日本の相続税法第24条で、「資産を年金方式で相続した場合、その相続財産評価額を大幅に減らす」という条文がありますが、これを利用するものです。2つの事例でご説明します。
<事例1>
夫、妻、子供3人
現金資産3千万円
通常の相続では、50%の税がかかり、資産は1500万円になってしまう
アメリカの、一括積立即時受給年金に、3千万円で加入し、年金受給権を3人の子供に贈与します。この場合、相続税法24条により、受給権評価は30%と定められているので、相続税評価額は900万円で、3人で割りますから、一人300万円で評価されることになります。そして、贈与基礎控除の対象となりますので、基礎控除額110万円を除いた残額に、10%の税金がかかり、その結果、3000万円の贈与に対して57万円、一人当たりわずか19万円の贈与税で、生前に財産を移転することができました。
すなわち、現金資産を保険資産にし、その後、この保険を、年金受給権という形で贈与することにより、課税額を大幅に圧縮し、手取りを増やすことが可能なわけです。現在日本には、アメリカの一括積立即時受給年金に相当する保険・年金商品がないため、この税法の恩典を利用するには、アメリカでこの商品を購入するしかありません。日本には、よく似た内容の生命保険商品がありますが、親が生命保険に加入してから、年金の支払いが始まるまで一定の期間待たなければならないため、その間に税法の改正があると無効になります。
さらに、これは生命保険ではないため、加入に際して健康診断は不要です。また、ソーシャルセキュリティー番号(社会保障番号)がなくても、加入の際、申請書と共にタックスID番号(納税者番号)の申請書を提出すればよく、渡米する必要もありません。
<事例2>
法定相続人3人(妻と子2人)
相続財産 5億円
相続財産から基礎控除額を差し引いた金額が課税対象です。この例の場合、課税対象は4億2千万円となります。さらに、配偶者控除を考慮したうえで、それぞれの相続税納税額は下記のようになります。
妻 なし
子 一人5850万円づつ
つまり、5億円の財産を相続した場合、相続人である子供は、5850万円を、原則、現金一括で納めなければならないのが日本の相続税制です。
では、これを、20年間の年金の形で受け取る場合、どうなるでしょうか?
まず、受け取り期間が20年だと、相続税法24条の規定により、評価割合は40%となりますので、5億円は、2億円に圧縮されます。ここから基礎控除額を引き、納税額を計算しますと、下記のようになります。
妻 なし
子 一人950万円づつ
本来なら、5850万円づつ支払わなければならなかった税金が、950万円に圧縮されたことになります。
次にご紹介するのは、アメリカの生命保険を利用する方法です。まず、日米の保険料を比較してみましょう。
<保険額:一億円の場合の一括保険料の比較> (前期全納例、男性・非喫煙者)
年齢 | 日本の場合 | アメリカの場合 |
50歳 | 1億3千万円 | 3千万円 |
60歳 | 1億6千万円 | 4千5百万円 |
70歳 | 2億円+ | 6千万円 |
($1.00=\110換算)
これで見て明らかなように、保険料の比較では、生命保険は、アメリカの商品のほうが絶対に得です。では他にどのような違いがあるでしょうか?
相続税納付資金を手に入れる有効策としての生命保険も、日本ではなくアメリカで加入することにより、生命保険の受取人は一時所得となり、税務上のメリットがあります。
アメリカの保険会社の保険料は日本よりも安価で、しかも高額な生命保険額の契約が可能となります。
アメリカの保険会社の運用率は高く、最低運用率が保証されています。
申し込みは90歳まで可能となります。
資産運用額は、引き出しも可能です。
この方法を利用するには、アメリカで現地法人を設立し、渡米して健康診断を受ける、という手順をふまなければなりませんが、節税効果は大きく、相続に際しての予期せぬ人間関係のトラブルを避けるという意味でも、非常に有効な相続対策といえます。
なお、個々の状況によって、必ずしもこれらの方法が適用できない場合があり、検討される際には、必ず税理士または会計士にご相談されることが必要です。
このほかに、アメリカの税法で認められている、ある種のトラスト(信託)とを利用する方法もあり、この方法は、日本人がアメリカで不動産投資をし、最終的にその不動産を売却して利益を現金化する場合に有効です。
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田口トレーシー
